【3000年の歴史】紹興酒の起源は黄河文明に在り?

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中国の代表的な酒として、まず第一に「紹興酒」を思い浮かべる人がお酒の飲む飲まないに関わらず大多数でしょう。
中国古代文明と言えば「中国4000年の歴史」と言われる程に古くから存在する文明の一つであり、かつては「黄河文明」を世界四大文明の一つとして習った人も多いでしょう。
(現在では世界四大文明という定義は不適切としてあくまで数ある古代文明の一つとして扱われています。)

また「酒の起源」も世界中あらゆる地域で古くから登場するものであり、人類の文明の発展の最初期から密接に関わるものです。
(「最古の酒」とされる蜂蜜酒の起源に至っては約1万4000年前まで遡るとされています。)

では「紹興酒の起源」は一体どれほど古いものなのでしょうか。
それは最低でも2400年前の春秋時代まで遡ります。

中国の代表的な酒である紹興酒とは一体中国の歴史にどういった形で関わってきたのか、これから述べていきます。

中国の歴史の起源は一体何千年、何万年前から及ぶものなのか?

中国の古代文明と聞くと、多くの人が「黄河文明」のことを思い浮かべると思います。
この場合の黄河文明に関して、多くの人は「中国4000年の歴史」という文言から紀元前2000年頃に発生した文明だと認識して人もいるでしょうが、「黄河流域で発生した文明」という観点で見ると、その起源はおよそ紀元前7000年まで遡ります。

また、中国には長江や遼河といった大河も存在しており、当然ながらその流域でも文明が発生しています。
遼河文明は紀元前6000年程、長江文明に至っては紀元前14000年に発生したとされています。

正直「中国4000年の歴史」という文言すらちっぽけに見えるほど中国の歴史というものは非常に長い長いものなのです。
黄河文明はあくまで最も現在の中国に最も大きな影響を与えた文明というだけであり、中国唯一の古代文明というわけではないのです。

中国史における紹興酒の登場、そしてその儀式的な意義

ここで本題の「紹興酒の起源」に戻りますが、中国の歴史において紹興酒が登場したとされるのは秦の時代(紀元前778~紀元前206年)の歴史書「呂氏春秋」です。
「呂氏春秋」は先秦時代、すなわち春秋戦国時代の説話を編纂した歴史書であり、そこでは越王が戦の前の必勝の儀式において長江に酒を投げ入れたと記述されており、この時の酒が紹興酒であるとされています。
当時の紹興を含む地域では既に酒造が行われていたことは判明しており、紹興酒も「呂氏春秋」以前から既にいわゆる地酒として既に製造されていたとされています。

また、これ以降の歴史書にも度々紹興酒は登場しており、黄河文明を中心とする古代中国において紹興酒が非常に儀式的な意味合いも持つ特別な酒であったのは間違いないでしょう。

中国史における「紹興酒ブランド」の飛躍的発展について

最初に述べた通り紹興酒は中国を代表する酒の一つですが、その歴史は遥か昔から連綿と受け継がれ、時代を経る毎にその地位も飛躍的に向上していきます。

春秋戦国時代の時点で、戦の前に王自らが行う儀式で用いられたことから高い儀礼的価値があったことは確かですが、その後の時代もその地位は落ちるどころかどんどん上がっていきます。
南北朝時代(439~589年)には時の帝が自叙伝に「紹興酒で満たされた銀の壺を傍らに、酒を飲みつつ読書に耽った」と書き残しています。

また、宋時代(960~1279年)には紹興酒は「蓬莱春酒」と呼ばれ、帝や大臣と言った高貴な方々への貢物として国を挙げて本格的に製造に力を入れ始めたと明時代(1368~1644年)の歴史書「酒史」に書き記されています。
(「蓬莱」とは中国の伝承において仙人が住む場所とされており、紹興酒がいかに高いブランド力を持っていたかが伺える名称です。)

中国の大衆文化における紹興酒が担った風習的地位

これまでは帝を始めとした極めて高貴な上流階級における紹興酒の地位を述べてきましたが、対する一般の大衆の間では紹興酒はどのように扱われていたのでしょうか。

こちらは中国最古の植物誌とされる「南方草木状」で晋時代(265~420年)には紹興酒発祥の地である紹興では女児が誕生した際には紹興酒を製造し、一か月後の満月の日に甕に入れて地中に埋めるという風習が存在したと記されています。
その女児が嫁ぐ際には甕を掘り出し、花の彫刻を施して嫁入り道具としていたそうです。

この風習は「花彫酒」と呼ばれ、残念ながら風習自体は無くなってしまいましたが、その名前は最高級の紹興酒の一つ「陳年花彫酒」等のブランド名として現代にも受け継がれています。

紹興酒ブランドの現代社会における確固たる世界的地位

このように約3000年の歴史を持つ紹興酒ですが、現在では現地だけではなく日本を始めとした世界30ヵ国以上に輸出されており、「紹興酒ブランド」の地位を確固たるものとしています。
日本に初めて紹興酒が輸入されたのは昭和47年の日中国交正常化の際であり、かの有名なジャイアントパンダのカンカンとランランと同時期に日本に上陸していたのです。

日本の中華料理において紹興酒は最早必須とも言えるほど強く根付いたものであり、これは紹興酒の持つ3000年の歴史、そして中国の持つ10000年以上の歴史が脈々と現代まで受け継いできた「力」が成したものだと言えます。

現代の紹興酒には様々な有名ブランド(「古越龍山」「塔牌」「越王台」等)もあり、それらをそのまま嗜むことも素晴らしいですが、筆者としてはリーズナブルな中華料理店で出てくるコーラで紹興酒を割る「ドラゴンハイボール」を強くオススメして、〆させてもらいます。

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